《2022年》モデルチェンジされたパニガーレ V4Sの変更点を紹介します

ドゥカティ

今回はモデルチェンジをしたパニガーレV4Sについて紹介します。販売当時V4Sはフロントリフトを抑えるウイングは付いていませんでしたが、2020年モデルからV4Rと同じフェアリングになり、見た目も同じとなりました。それから2年後、V4Sは新たなフェアリングを装備して空力性能を向上させました。フロントサスペンションもV4Rと同じものを電子制御することとなり、装備もかなり充実されました。

2022年モデルのパニガーレV4Sの変更点を紹介します。

2022年モデル パニガーレV4S

2022モデルのパニガーレ V4はこれまでで一番大きな進化を遂げました。今回の改良にはエアロダイナミクスエルゴノミクスンジンシャシレクトロニクスのすべての分野が改良されました

その結果、サーキットでさらに速くなり、同時に幅広いライダーにとってより直感的で疲れにくいバイクに仕上がっています。2022年モデルのパニガーレV4Sはプロ・ライダーとアマチュア・ライダーの両方に、エキサイティングな走りを提供します。

2022モデルの変更点

エアロダイナミクス

2022年モデルの パニガーレV4S のエアロダイナミクスはフェアリングの改良に集中的に取り組み、よりコンパクトで薄いダブルプロファイル・デザインのウイングと組み合わせることで効率の向上を達成しています。このアップデートで、300km/hで従来と同じ最大37kgのダウンフォースを得ることに成功しています。

さらに、フェアリングの下部には、冷却効率を改善<するために再設計されたエア排出ソケットを設置することにより、特にサーキット走行におけるパフォーマンスが向上しています。

エンジン

2022年モデルではパワーが増加すると同時に、スロットル・レスポンスも向上しています。

ユーロ5規制に適合したデスモセディチ・ストラダーレは、以前のバージョンと比較して1.5psのパワーアップとなる、215.5ps /13,000rpmの最高出力を発生します。また、最大トルクは12.6kgm /9,500rpmで発生し、6,000rpmから最大トルクの80%を提供します。

2022モデルでは、パワーモードも新しくなり、フル、ハイ、ミディアム、ローの4つのモードに変更されました。

「フル」パワーモードは、これまでに採用された中でもっともスポーティなモードで、1速ギアを除いて、電子制御が介入しないトルクカーブにより、エンジンの潜在能力を最大限に発揮できるようになっています。

「ハイ」および「ミディアム」パワーモードでは、新しいライド・バイ・ワイヤ・マップ管理システムが開発されました。このシステムでは、6つのギアそれぞれに専用のマッピングが適用されて、ライダーがスロットルを開けたときに、思った通りの推進力を常に得られるようになっています。

「ロー」パワーモードは、公道でのライディングをさらに楽しくするために考案されたもので、エンジンの最高出力を150psに制限し、特に扱いやすいスロットル・レスポンスを特徴としています。

サスペンション

パニガーレ V4Sには、オーリンズ製Smart EC 2.0イベントベース電子制御システムを備えた、オーリンズ製NPX 25/30加圧式フロントフォークが装備されています。従来のフォークと比較してトラベルが5mm増加して125mmとなり、縮み側のダンピングは25mm径のピストンを使用して左ロッドで行われ、伸び側のダンピングは30mm径のピストンを使用して右ロッドで行われます。

トラベルが5mm増加したことにより、より柔らかい設定を採用することが可能になっただけでなく、スプリング剛性を10N/mmから9.5N/mmに変更し、荒れた路面におけるよりスムーズな作動が実現し、極限状態におけるグリップ力が高まっています。

オーリンズ製TTX36リアショック・アブソーバーは同じくオーリンズ製電子制御式ステアリング・ダンパー、ロジックを採用した第2世代のSmart EC 2.0システムと組み合わされています。このシステムは、インターフェイスを介して自由に調整することができるため、従来のシステムよりも、より直感的に設定を行うことができます。

燃料タンク

燃料タンクは、容量を+1リットルとしこれまでとは異なるデザインとなったことで、ブレーキング時にしっかりと体を固定し、より速く、より長くライディングできるようになっています。
新しいタンクにより、ライダーとバイクの一体感が高まり、空力的にベストなポジションを取って、より快適にライディングことが可能になりました。さらに、ハングオン時における、コーナー外側の腕の接触面積も改善されています。

電子制御

コーナリングABS EVOは、3つの異なるレベルに設定することが可能で、たとえグリップ・レベルが非常に低くても、サーキットおよび公道のあらゆる状況でライダーのニーズを満たします。
レベル3は、公道での使用、またはグリップが低い状況での使用を想定しており、最も安全かつ安定したブレーキングを実現します。

ドゥカティ・トラクション・コントロール DTC EVO 3は、エンジンのトルク値を調整して、ホイール・スピンが収束した後に発生するトルク・ピークを回避することで、コーナー出口において、より安全かつ予測可能な状態でスロットルを開けることができるようになっています。発生するトルクを予測的に調整し、クランクシャフトの角加速度を修正して、ホイール・スピンを穏やかに収束させます。これによって、コーナー出口での挙動がよりニュートラルなものとなり、バイクのフィーリングが改善されます。

ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)EVOも以前のバージョンよりも精密にウィリーの発生を検知し、ライダーの入力により速く反応して、より正確な制御を行います。

4つのライディング・モード

レースAライディングモードは、サーキットにおいてバイクのパフォーマンスを最大限に引き出したい経験豊富なライダーのために開発されています。「レースA」を選択すると、エンジンはフルパワーを発揮し、スロットルを開けたときのライド・バイ・ワイヤのレスポンスもダイレクトなものとなります。

レースBライディングモードはレースAと同様にフルパワーを発生しますが、「レースA」と比較して、1速、2速、3速におけるトルク・デリバリーが減少し、長時間のサーキット走行におけるバイクの扱いやすさが向上します。このモードは、ストレートにおける加速よりも、コーナリング・スピードを重視したいサーキットまたは路面が荒れているかグリップの低いサーキットに向いています。

スポーツ・ライディングモードを選択すると、エンジンの最高出力は215.5psに設定されま、スロットル・レスポンスはスポーティでダイレクトな設定となります。V4Sのサスペンション・セットアップもスポーティな設定となります。スライド・バイ・ブレーキ機能が有効になるため、ライダーはコーナーで安全にドリフト走行を行うことができます。ブレーキング時のリアホイール・リフト検出機能がオンとなり、コーナリングABSは、コーナリング・パフォーマンスを最大化するように設定されます。

ストリート・ライディングモードは、パニガーレ V4を公道で走らせるときに推奨されるモードです。このライディングモードでは、エンジンの最高出力が150psに設定され、ライド・バイ・ワイヤのスロットル・レスポンスは扱い易いモードとなります。サスペンションのセットアップは、起伏の激しい路面に最適な設定となります。

サーキットでのパフォーマンス向上

2022年モデルのパフォーマンスの向上は、イタリアのヴァレルンガ・サーキットでの2人のテスト・ライダーと、プロ・ライダーのミケーレ・ピッロが、2021年モデルと2022年モデルのを比べています。

1人目のテスターは、2022年モデルでベストラップを0.9秒、2人目のテスターは1.2秒短縮する一方で、ミケーレ・ピッロはベストラップを0.5秒更新することに成功しました。ピッロが記録したタイムは、2021年にイタリア・スーパーバイク選手権のレース1で記録されたベストラップと、ハイグリップタイヤをつけたレーシングマシンとわずか3秒しか変わらないタイムでした。

テクニカルスペック

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